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佐治晴夫著『宇宙のカケラ レタス畑の向こうに見えてきたこと』について

1:岡田 次昭 :

2024/04/24 (Wed) 07:48:46

令和6年4月22日(月)、私は、東急田園都市線梶ヶ谷駅にて東急株式会社編「0ALUS(サルース) 」2024年5月号を入手しました。
この小冊子の24頁に佐治晴夫著『宇宙のカケラ 「宇宙のカケラとして生きる」』が掲載されました。
副題は、「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである」です。

宇宙の中での地球は、「Pale Blue Dot」に過ぎません。
(注) Pale Blue Dotは、1990年に約60億キロメートルのかなたからボイジャー1号によって撮影された地球の写真です。
太陽系家族写真の1枚として撮影されたこの写真では、広大な宇宙に対して地球は0.12ピクセルの小さな点でしかありません。
ボイジャー1号は当初の目的を達成して太陽系を離れるところでしたが、カール・セーガンの依頼を受けたアメリカ航空宇宙局 (NASA)の指令によってカメラを地球に向け、この写真を撮影しました。
撮影された地球が淡く青い点(a pale blue dot)であったことからこの写真自体が「ペイル・ブルー・ドット」(Pale Blue Dot)と名付けられました。

佐治晴夫さんは、「地球人たちは、自分たちが極めて弱い存在であることを自覚した上で、領土やエネルギー資源を少しずつでも分かち合い、ゆずりあって、相手の尊厳を認め、共存する方向を目指すしかありません。」と書いています。
これを読めば、戦争をしている場合ではないことを当事国の人たちは認識するはずですが、残念ながらこの言葉は彼らには届きません。



『宇宙のカケラ 「宇宙のカケラとして生きる」』 (原文のまま)』

私たちの地球を宇宙から眺めれば、それは漆黒の闇の中に、かすかに光る針の先ほどの青い光の点「Pale Blue Dot」でしかありません。
その地球のすべての営みは太陽が生み出すエネルギーの22億分の1に支えられています。
といっても地上1㎡あたりおよそ500Wですから、太陽のエネルギーがいかに大きいか分かりますね。
そのエネルギーによって温められた地表上や海面から放出される温かい赤外線は、雲の成分である水蒸気(H2O)や空気中の二酸化炭素(C2O)、亜鉛化窒素(N2O)の働きで大気中に蓄積され、地球を温めます。
「温室効果」です。
これらのガスや大気がないと、地球の平均表面温度はマイナス14度くらいになってしまいます。
温室効果ガスは地球が纏っているオーバーコートなのです。
これらのガスは、もともと地球にあったものに加えて、ものの燃焼や地上にまかれた窒素肥料、下水処理などから発生しますが、植物や海を介して吸収され、循環しながら全体量はバランスがとれていました。
しかし、近年の急速な文明化が過剰な温室効果ガスを排出してきたことでバランスが崩れ、地球温暖化をもたらしました。
これは干ばつ化や森林の破壊、森林火災などによる温室効果ガスの増大などの悪循環を起こし、地球の気候変動を生み出していきます。
さらに星が超新星爆発して最後を迎えたときに発生する銀河宇宙線が、地球の上層大気を分解して雲を作ることで温暖化を促進したり、逆に太陽光を遮って寒冷化させたりします。
その度合いは、太陽から放出される太陽風の強弱に左右されるので、人類にとっては不可抗力です。
その一方で、人類による大量の地下水のくみ上げが、ここ20年間で、地球の気候を左右する地軸の傾きを東寄りに80㎝ほど増大させたことが分かっています。
現時点では些少であるとはいっても、人類の営みが、地球の傾きにまで影響を及ぼし初めているという事実は重大です。
かつて、カール・セーガン博士が言ったように、地球が存続の危機にひんするような状況になったとしても、どこからの救援も期待できません。
だからこそ、地球人たちは、自分たちが極めて弱い存在であることを自覚した上で、領土やエネルギー資源を少しずつでも分かち合い、ゆずりあって、相手の尊厳を認め、共存する方向を目指すしかありません。
そのときにこそ、「宇宙のカケラ」としての地球人が、善なる銀河系の一員として認められることになるのでしょう。
宮沢賢治の声が聞こえてきそうです。
――われらに要るものは銀河を含む透明な意志「巨きな(オオキナ)力と熱である。
(了)

(ご参考)

佐治晴夫さんは、昭和10(1935)年、東京にて生まれました。
彼は、立教大学理学部物理学科卒業後、東京大学大学院にて物理学を専攻しました。
東京大学物性研究所、松下電器東京研究所、横浜国立大学、NASA客員研究員、玉川大学教授、県立宮城大学教授などを経て、2004年より2013年まで鈴鹿短期大学学長を務めました。
その後、鈴鹿短期大学名誉教授、鈴鹿短期大学名誉学長に就任しています。
佐治晴夫さんは、今年米寿を迎えられました。
このお歳で立派な文章を書いています。
尊敬すべき人です。
現在88歳です

主な著書は、次の通りです。

『宇宙の不思議』(PHP研究所)
『宇宙のゆらぎ・人生のフラクタル』(PHP研究所)
『宇宙はすべてを教えてくれる』(PHP研究所)
『宇宙の風に聞く』(セルフラーニング研究所)
『宇宙日記』(法研)
『おそらにはてはあるの』(玉川大学出版部、イラスト:井沢洋二)
『星へのプレリュード』(黙出版)
『二十世紀の忘れもの』(雲母書房)
『「わかる」ことは「かわる」こと』(養老孟司との共著)(河出書房新社)
『からだは星からできている』(春秋社)

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